APD - カスタム電源設計ソリューション

【カスタム電源設計ソリューション】開発段階でのパラメータ制御による歩留まりへの影響

電源市場の競争が激しくなるにつれ、PSR (一次側レギュレーション)を採用した構造設計の電源アダプタ製品がますます多くなってきています。PSR は SSR(二次側レギュレーション)に比べて構造がシンプルであることに加え、コスト面でも優れている点が強みです。一方、弱点を挙げるならば PSR 構造はピーク負荷と動的負荷特性においては SSR 構造には遠く及びません。また、一次側で出力電圧を制御するため、PSR 構造を持つ電源製品の市場投入後の歩留まりは実はさほど高くないという側面もあります。

よく見られる不具合には以下のようなものがあります:

  • 正常稼働時に出力電圧が高くなりすぎる
  • 正常稼働時に出力電圧が低くなりすぎる
  • 雷が鳴っている時に使用すると、システムが突然ダウンしてモニタが青一色になる。または再起動ができなくなる

通常、出力電圧が高すぎるまたは低すぎるという現象は量産後の部品公差が引き起こすマッチング的な問題によるものです。しかし、APDの製品は設計時にDFMEA(設計故障モード影響解析)を採用していることに加え、限定条件でテストを実施することで出力電圧の影響を受ける関連部品のパラメータ値を制御し、この種の不良の発生を回避しています。

 

PSR ICが採用している電圧には通常下記の二種類があります

  • 遅延法:プラットフォーム電圧
  • 斜面法:変曲点電圧

後者はデジタルIC技術に使われていますが、ICコストがややかさむため、市場に出回っているPSR製品の大部分は遅延法を採用しています(図一参照)

遅延法で採用している制御原理の公式は以下のようになっています:

Vout= Vsampling/Naux*Ns-Vd

Vout: 出力電圧

Vsampling:サンプリングポイント電圧

Naux:補助巻線ターン数

Ns:二次側巻線ターン数

Vd:二次側ショットキーダイオード順方向電圧

 

出力電圧はサンプリングポイント電圧が変化することにより変化します。しかし、サンプリングポイント電圧はトランス巻線工程や補助ダイオードTrr(逆回復時間)、クランプ抵抗、 IC FB 電圧精度などと関係があります。そのため上記部品のパラメータを制御することで電圧が不安定になる問題について本質的な解決をはかることができます。

APD の PSR 製品は、出力電圧の不安定さによってお客様のシステムに影響が出るのを避けるため、これらの部品のパラメータについて限定条件でテストを実施し、出力電圧の安定性を確保しています。